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若山牧水


5年に一度、一先会では秋に銀座で東京選抜展覧会があります。それに全壊紙(横)の依頼がきました。この展覧会は日展の時期に行われるので多くの先生方が見に来られる展覧会なので気が抜けません。大字作品の多い私は中字作品と知らされたとき「どきっ!」としました。

基調古典は「香紙切」、今回は近代短歌の若山牧水に初挑戦!近代短歌で作品をまとめようとすると最後にいつも失敗し、集字→構成→と終わり書き出しに入るとうまくいかず最初からやり直しという展開になります。でも今回は貫き通すことを決意!

”峰かけてきほひ茂れる杉山のふもとの原の山ざくら花”→この和歌に決め昨夜は明け方まで集字作業をしていました。私は集字は作品を書く上で最も大切なことだと思っています。集字がうまくいくとよい作品が生まれる・・・。この作業は地味ですが子供が寝たあとにコーヒーを飲みながら静かに短歌集と向き合いパズルのように文字を並べて・・・嫌いじゃありません。作業中は洗濯機の音、食洗器の音・・・集字に疲れてくるころちょうど音が鳴り終え、洗濯物を干したり食器を片づけたり自分のペースで進めています。たまには作業中ケーキを焼いてみたり!

今回の和歌には「山」が二文字、「の」が3回出てきます。初めに漢字の「山」を使うか、最後に使うか・・・まだ悩んでいて書き出してからどちらにするか?決めようかと思います。香紙切の古典はクルクルと大胆な筆使い・・・。私は香紙の「ふるさと」の文字が大好きで大字を書くときは「ふるさと」の文字が入った和歌を選ぶことが多いです。でも今回はあえて「ふるさと」がない和歌にしました。最後の花も漢字にするか変体仮名にするか・・・どちらがうまくいくか?3つ候補に集字しました。今夜この集字を書いてみます。

美來のピアノの先生が曲を弾けるようになるまでの練習を苦にならず楽しんでほしいとよく話しています。弾けるようになる前の練習、ピアノでは譜読みと片手づつの練習になります。書道ではこの部分が集字作業にあたるのでしょう。芸術はすべての分野においてすぐにできるものではなく、作品になる前までの地味な作業をみんなコツコツしているのですよね。サッカーも練習後の地味な柔軟体操や自分の弱い部分の体づくり・・・これらを毎日続けることで上達していくのだと思います。


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